「WordPress と他CMSを横並びで理解できる一覧が欲しい」という声はとても多いです。
そこでまずは主要4サービスを同じ物差しで測る比較表を示し、その後で各項目を深掘りします。
なお、金額は2025年5月時点の日本向けの税込み参考価格です(キャンペーンにより変動あり)。
評価項目 | WordPress | Wix | STUDIO | はてなブログ |
---|---|---|---|---|
基本形態 | オープンソースCMS(自前サーバー) | SaaS型サイトビルダー | ノーコードCMS/ホスティング一体型 | 無料ブログ(SaaS)+ 有料プラン |
初期費用 | サーバー契約 0~数千円 | 0円(無料プラン) | 0円(Freeプラン) | 0円(無料版) |
月額費用 *¹ | 約550~1,500円(レンタルサーバー) | 1,200~4,000円(有料プラン) | 5~56 USD相当 *² | 0円/Pro 703~1,008円 |
独自ドメイン | ○(自由) | ○(有料) | ○(Starter以上) | Proで○(無料版は✕) |
デザイン自由度 | テーマ+コード完全自由 | テンプレート+ドラッグ&ドロップ | Figmaライクな自由レイアウト | テンプレ変更+CSS |
拡張性 | 6万超プラグイン | App Market 約350種 | カスタムコード・API | 公式機能中心 |
SEO 標準機能 | Core Web Vitals最適化、Yoast等 | AI SEO設定、構造化データ | SEO Writing Assist(2025) | 最低限(パンくず自動/AMP対応) |
EC機能 | WooCommerceなど | Wix Stores | Stripe連携β | 外部サービス埋込 |
学習コスト | 中~高 | 低 | 低~中 | 低 |
運用保守 | 自己責任(柔軟だが手間) | Wix側で自動 | STUDIO側で自動 | はてな側で自動 |
推奨ユースケース | 収益化重視の本格サイト | 小規模~中規模ビジネス | デザイン重視ポートフォリオ | 日記・趣味ブログ |
*¹ ドメイン・決済手数料は含まず
*² 2025年5月レートで概算。円建ての公式表示は未提供のため米ドル表記
目次
WordPress ― “自由度と資産価値”を両立させたい方向け
- 拡張エコシステム
コアは無償ながら有料テーマやプラグインを合わせると年間数万円規模の投資も珍しくありません。V6.7(2024-12 リリース)のパフォーマンス最適化でFCPが最大24%向上し、大規模サイトでも表示速度の課題が減少しました。 - 巨大シェア=ノウハウが豊富
2025年4月時点で世界の43.6%、日本の58.5%のWebサイトがWordPress を採用しています。 - コストの柔軟性
レンタルサーバー+独自ドメインで月額1,000円前後が相場ですが、長期キャンペーンやセルフホスティングでさらに圧縮可能です。無料ブログとは異なり広告表示の制限がなく、アフィリエイト・物販・会員サイトなど多角的なマネタイズができます。

Wix ― AIで“とにかく早く形に”を実現
- AI Website Builder
2023年後半から強化され、プロンプトに答えるだけでページ構成・文案・画像まで自動生成。中小ビジネス向けスピード感が武器です。 - Wix Studio(旧Editor X)
2025年版ではFigmaとのライブコピーやCSS Grid出力など、制作会社向けの高度なレイアウト制御が可能になりました。 - 料金設計
無料プランは広告表示・サブドメインのみ。有料プランは1,200円台~と明快な階段式で、ドメインとSSLを含むため「サーバー・テーマ・SSLを別々に管理するのは面倒」という層に刺さります。

STUDIO ― 日本発ノーコードで“デザイン主導”を追求
- FigmaライクなUIと高速レンダリング
ビジュアル編集がFront-endのCSSにそのまま反映されるため、コーダー不在でも細部までデザイン調整が可能です。無料枠は1プロジェクトに制限がありますが、StarterプランでもCMS公開10件・予約投稿が解禁されました(2025年1月アップデート)。 - SEO Writing Assist
2025年導入のAIライティング支援により、STUDIO管理画面だけでキーワード提案やメタ情報最適化が行えます。 - 公式アナリティクス
Google Analytics連携なしでもPV・UUを確認できる純正Analytics機能が2024年後半に正式版となり、運用チームの敷居を下げました。

はてなブログ ― “コミュニティと気軽さ”を最優先
- 無料ブログとしての強いドメインパワー
無料版でも検索流入を得やすい一方、広告枠やデザインはサービス側の制約を受けます。 - Proプランで独自ドメイン + 収益化
年額8,434円(月703円)~で独自ドメインと広告非表示が可能。長期契約でWordPressのレンタルサーバー費用とほぼ同水準まで下がります。 - 学習コスト最小
Markdownとテンプレ変更で記事公開が完結。カスタマイズはCSS止まりのため、機能拡張よりコンテンツ制作に集中したい個人ブロガー向けです。

無料ブログ vs 有料ブログ視点での再整理
観点 | 無料ブログ | 有料ブログ |
---|---|---|
初期コスト | 0円 | 数百~数千円 |
収益化自由度 | 制限あり(広告枠固定) | ほぼ自由 |
データポータビリティ | サービス依存 | 独自ドメインで移転可 |
ブランド構築 | サブドメイン | 独自ドメインで資産化 |
運用コントロール | 標準機能に限定 | プラグイン/アプリで拡張 |
結論
- “趣味+日記”なら無料ブログで十分。
- “長期的な事業・収益化”を狙うなら、独自ドメインを取得して有料ブログ(特にWordPress)がリスク分散・資産化の観点で有利です。
CMS選定フロー(初心者~中級者向け)
- 目的を定義:情報発信だけか、サービス販売まで視野に入れるか。
- 予算:初期3万円以内ならWix/STUDIO、長期回収ならWordPress。
- 運用体制:自分だけで完結=Wix/STUDIO、複数人体制でロール分担=WordPress。
- デザインのこだわり:テンプレベースで十分→Wix/はてな、独自UI必須→STUDIO/WordPress。
- 将来の拡張:会員制、マルチサイト、PWA…など不確定要素が多い場合はWordPressでロックイン回避。
まとめ
はてなブログ はコミュニティと手軽さが魅力。収益化を本格化するならPro+独自ドメイン or WordPress への移行を検討。
WordPress は最高クラスの自由度と拡張性を備え、資産型ブログ/EC/メディアの本命。習得コストと保守は自己責任。
Wix はAI自動生成とサポートが秀逸で、立ち上げスピード重視の小規模ビジネス向け。
STUDIO は日本語UIとデザイン自由度で新進クリエイターに人気。2025年のCMS強化で中規模案件にも対応。